JRA「宝塚記念の法則」にラッキーライラックが、クロノジェネシスが絶体絶命!? 15年連続「連対」継続中……今年「大穴」を開けるのは、この3頭?
今年は皐月賞馬サートゥルナーリアと、大阪杯(G1)で牡馬を蹴散らしたラッキーライラックを筆頭に、秋華賞馬クロノジェネシス、香港ヴァーズ(G1)の覇者グローリーヴェイズ、一昨年の有馬記念(G1)を勝ったブラストワンピースなど、G1馬8頭が集結。例年以上の大混戦となりそうだ。
そんな中で着目したいのが、ここ15年連続で継続している「宝塚記念の傾向」だ。
実は2005年にスイープトウショウが勝って以来、宝塚記念は15回連続で「上がり最速」を記録した馬が連対し続けている。残り600mからゴールまでを最も速く走っているのでだから当然、宝塚記念以外のレースでも馬券に絡む確率は高い。だが、宝塚記念ほど色濃く上がり最速馬が上位に来るレースはそうない。
実際に、記録が一時途絶えた2004年以前も、1999年から5年連続で上がり最速馬が連対していたのだから、さすがに無視できない傾向だ。
例えば宝塚記念は2018年の2着ワーザー(10番人気)や、2015年の2着デニムアンドルビー(10番人気)のように、上がり最速さえ叩き出せば穴馬でも連対できる可能性がある。逆に述べれば、穴馬で狙いたいのは「上がり最速が狙えそうな切れ者」ということになるだろう。
そこで今回は、今年の宝塚記念で人気薄ながら、上がり最速が狙えそうな切れ味自慢をピックアップしたい。
もともとデビューから5戦連続で上がり最速を記録するなど、世代でも屈指の切れ者と名を馳せていたカデナ。一時、スランプに陥っていたが、最近は不発に終わった昨秋の天皇賞・秋(G1)を除けば5戦連続で上がり最速を記録している。
中でも、後方12番手から4着まで追い上げた前走の大阪杯(G1)は、この馬の充実ぶりを物語っていた。記録した33.5秒は、上がり2位ラッキーライラックとでさえ0.4秒差という圧巻の切れ味。主戦の鮫島克駿騎手はこの馬の末脚を信じ切っており、まともに末脚を爆発できれば、今年の宝塚記念の上がり最速に最も近い存在といえるだろう。
前々走・阪神大賞典(G2)、前走・天皇賞・春(G1)とステイヤー路線を歩んできたトーセンカンビーナ。それだけに、このメンバーで切れるといったイメージはないかもしれないが、実は前々走まで5戦連続で上がり最速を記録していた。
特に光るのが、昨年の阪神の1800m戦で記録した上がり3ハロン32.9秒だ。今回と違い外回りコースだったが、上がり2位に0.7秒差をつける異次元の末脚。ハマった時の破壊力は、このメンバーでも脅威に違いない。1枠1番という枠順もスタートに不安があるトーセンカンビーナにとっては、むしろプラスだろう。いつも通り出遅れれば、鞍上の浜中俊騎手も腹を括るしかなくなるからだ。
こちらもスタートに不安があり、だいたい3走に1度は出遅れて、後方からの競馬を余儀なくされている。今年1月の日経新春杯(G2)でも、スタートで後手を踏んで1番人気を裏切ってしまった。
しかし、逆に出遅れた際は、非常に高い確率で上がり最速の末脚で追い上げている。唯一、上がり2位に終わったのが昨年の日本ダービー(G1)だが、サートゥルナーリアと0.1秒差の2位なら、その破壊力はG1でも通用するはずだ。
ただ、逆に“普通”にゲートを出てしまうと、“普通”に中団から競馬して、“普通”に負けてしまっているレッドジェニアル。「出遅れるかが勝負」というのはおかしな話かもしれないが、そんな事情もあって3番手とした。
もっとも先述したサートゥルナーリアや、グローリーヴェイズといった実力も切れ味も兼ね備えた馬が、あっさり上がり最速を記録してしまう可能性もある。ただ、近1年でそれぞれ1度ずつしか上がり最速を記録していないラッキーライラックや、クロノジェネシスら先行タイプの有力馬にとっては耳の痛い話だろう。
一歩足りなくとも、ハマった時には上位を賑わすのが穴馬。探すなら、今回は末脚に懸ける切れ味自慢を狙いたいところだ。