中年太郎の競馬ニュースまとめ

ギャンブル速報&ニュースまとめの中から競馬関連を抜粋した内容のみ投稿をしていきます!

【SG宮島グラチャン】いぶし銀・徳増秀樹が「悲願」の初V!『モンキーターン』“主人公”も飲まれたSG優勝戦1号艇に潜む「魔物」に打ち勝つ

tokumasu_boat
ボートレース宮島で行われた『SGグランドチャンピオン』は、45歳のいぶし銀、徳増秀樹(静岡)の優勝で幕を閉じた。危なげないイン逃げ横綱相撲だったが、その裏には初めて経験するSG・1号艇のプレッシャーという魔物との戦いがあった。

 

 徳増はレース後、「吐きそうな気持だった」「手が震えた」と本音を吐露した。これまでSG優出は9回あるが、1号艇での優出は10回目の今回が初めて。27年目のベテランをしても未経験の領域だった。

 

 優勝戦だけで売り上げは16億超。一本かぶりのオッズが表示された、出走待機室のモニターや対岸のオッズ板が、否が応でも目に入ってくる。5年ぶりのSG開催にこぎつけた宮島ボート関係者の苦労を思えば、万が一にもフライングはできない。

 

 一方で、ファンや選手の注目を一身に集めるSG優勝戦の1号艇で、負けることはプライドが許さない。経験した者でないと分からない「魔物」が、SGの1号艇には潜んでいる。

 

 過去にも、SG・1号艇の重圧に負けたシーンは数知れない。漫画『モンキーターン』(小学館)の主人公のモデルと言われる濱野谷憲吾は、2010年の賞金王決定戦(現ボートレースグランプリ)の優勝戦1号艇で、インからドカ遅れして6着に敗れた。

 

 現役最強の峰竜太も、2015年の蒲郡メモリアルで1号艇だったが、1周1M、2周1Mともに極度の緊張からターンマークを外して2着に敗退。「泣き虫王子」と呼ばれたのは有名な話だ。

 

 艇界のスーパースターたちも苦汁を飲まされてきたSG優勝戦1号艇の魔物。だが徳増は初の1号艇の重圧をはねのけ、見事にSGレースを初制覇してみせた。45歳6カ月でのSG初Vは歴代5位の年長優勝記録。

 

 かつて最年長の49歳11カ月で93年の戸田ダービーを制した「浪速のドン」長嶺豊さんに通じる、いぶし銀の男泣きだった。

 

 G1初優勝がデビュー17年目の浜名湖周年という遅咲き。コツコツと努力を重ね、自らの個性を磨き続け、攻めるレースでファンの心をつかんできた。SGの準優でコンマ03、優勝戦でコンマ05のトップスタートは、攻める徳増の真骨頂と言えるだろう。

 

 苦労人には運も向くもの。コース取りで動く選手はいない。3号艇は静岡県の後輩で、スタート的確な菊地孝平だ。菊地が、カドから強烈にまくってくる峰竜太の壁になる安心感、信頼感。完ぺきに仕上がった45号機。そして無観客レースも、1号艇のプレッシャーという点ではプラスに働いたのではないか。迷いないトップスタートに、1マークで舟が返り、差させず、まくらせずの完ぺきなターン……。

 

「取るべくして取った」と言える徳増のSG初タイトルだった。

 

 それにしても今回のグラチャンでは、無観客ながら目標の100億を大きく上回る146億5161万1900円を売り上げ、「リモート舟券」の威力を存分に見せつけた格好になった。

 

 当面はG2以上のレースと東京の3場(平和島多摩川、江戸川)で無観客レースが続くが、今後の舟券発売のあり方を占う意味で、大きな一石を投じるSGとなったのは間違いない。