JRA「大誤算」アーモンドアイに続き、エネイブルまで陥落……。“日英”最強牝馬、偉業達成に大きく立ちはだかる2つの「壁」
なお、昨年の凱旋門賞(G1)2着以来の実戦となったエネイブル(牝6歳、英・J.ゴスデン厩舎)は2着、日本馬のディアドラは5着に敗れた。
レースはガイヤースがハナを切り、エネイブルは4、5番手からレースを進める。最後の直線でエネイブルが追い出すも、差はなかなか縮まることなく、結局2馬身以上差がついたままガイヤースが逃げ切り勝ちを決めた。
昨年の凱旋門賞で史上初の3連覇に挑んだエネイブル。だが、ヴァルトガイストの2着に敗れて、快挙達成とはならなかった。この結果を受けて、昨年いっぱいでの引退予定を撤回し、今年も現役続行となった。当然、今年の最大目標は凱旋門賞だ。昨年も始動戦に選択し、見事に勝利したエクリプスSで今年も勢いをつけたいところだったが、予期せぬ敗戦。これは陣営にとっては痛手だろう。
だが、陣営にはそこまで悲観する様子はなく、「エネイブルは完璧なパフォーマンスで、いい走りで上がってきました。満足しています」とゴスデン調教師は話している。
「良くなるのは使ってからだとレース前から陣営は話していました。6歳牝馬ということで、調整が難しくなってきており、8か月ぶりの実戦では100%の能力を発揮できていないようですね。次走は25日に行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を予定しています。3歳と5歳の時に制しているレースだけに、ここで負けるといよいよ凱旋門賞に暗雲が立ち込めます。真価が問われる1戦になりそうですね」(競馬記者)
「エネイブルは凱旋門賞3勝、アーモンドアイは芝G1・8勝と『史上初』の偉業に挑む2頭ですが、これまでに幾多の名馬が跳ね返されてきただけあってそう簡単にいかないようですね。昨年の凱旋門賞では重馬場がヴァルトガイストに味方したように、単純に強いということだけでは偉業の達成できないのかもしれません。それが史上初の壁なのかもしれません。
そして、もうひとつ気になるのが、年下の有力馬が台頭していることです。アーモンドアイは安田記念で1歳下のグランアレグリアに敗れましたし、秋以降はコントレイル、デアリングタクト、クロノジェネシスといった新興勢力との対決は避けて通れないでしょう。これはエネイブルも同じで、4日の英オークス(G1)でエネイブルの持つレコードを更新し、8馬身差の圧勝で制したラヴが立ちはだかることになりそうです。いつの時代も、世代交代はつきものですからね」(別の記者)
窮地に立たされた日英の最強牝馬。これまでに多くの名馬が跳ね返されてきた壁を乗り越えて、秋に偉業達成することを期待したいものだ。