パチスロ「ベルの次ゲームが激アツ」!! ~2号機名機伝説「ウィンクル」編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.10】
仕様は、BR両ボーナスをメインにフルーツ(小役の集中役)を搭載するAタイプ。
フルーツは60ゲーム継続(BIG成立で終了、REGは消化後に再開)で、8枚役が超高確率でほぼ毎ゲーム揃い、おおむね180枚の獲得が期待できた。
BIGとREG、そしてフルーツの3役が絡み合い、変化に富んだ出玉の波を描く──。ウィンクルのゲーム性をざっくり言えば、そんな感じか。
同じような仕様のマシンは後発のマシンにもよく見られ、2号機のひとつのスタンダードとなっていた。しかし、ウィンクルとその同仕様兄弟機である大東音響の『ベンハー』にしか見られなかった大きな特徴もあった。
具体的にいうと、フルーツの抽選方法が独特だった。レア役である15枚役のベル。これが入賞した次ゲームにのみ高確率で抽選されるのである。
つまり「ベルが揃った次ゲームは激アツ!!」というわけで、これこそがウィンクルにおけるゲーム上の最大の見せ場となっていた。
ちなみに、フルーツに当選した場合は全リール停止後、右リール横にあるLEDインジケータランプが点灯し、プレイヤーを祝福してくれる仕組み。
神妙な顔をしてランプを凝視しつつ、カラ回しをしてリールが自動停止するのを待つ者。あるいは、ランプの動きに合わせて目押しをする者──。
当時のウィンクルのシマでは、ベルの次ゲームに各々の方法(ジンクスやオカルト)で楽しむプレイヤーの姿が多く見られたものだ。
ウィンクルの独自性は、まだある。先述のインジケータランプ、通常時は左から右へ光が流れるように動くのだが、実はこれ、右リールの回転と同期していて、目押しアシスト機能の役割を持っていた。
たとえば、左→中に7がテンパイしている場合だと、ランプの「4」が点灯するタイミングで右リールを押せば、BIGフラグが成立していれば777が揃う、といった寸法。
当時、ビギナーで目押しもヘタだった自分は、このアシスト機能にずいぶんとお世話になったものである。まぁ、フルーツ継続中は機能しないので、難儀したが。
さらに、あともうひとつの特徴として、「?」が揃うとシングルボーナスとなり、1回だけのJACゲームができるのだが、まれにJACがハズれることがある。その場合は、内部的にBR両ボーナスあるいはベルが成立しているサインとなるのだ。
「ちょっと待った。ベルって、小役でしょ? 小役だったら、取りこぼしたらフラグ消滅しちゃうんじゃないの?」
…はい、いいところに気づきましたね。これもまたウィンクルの大きな特徴。フルーツの契機となるベルは、小役なのになんと、ボーナスと同様に入賞するまでフラグ保留されるのである。
このベルのフラグ持ち越しや、先述のインジケータランプによるフルーツ告知や目押しアシストは、あくまでウィンクル(とベンハー)だけに見られるもの。以降の2号機では許可されることは、決してなかった。
詳しい理由は定かではないが、おそらくは「遊技者の技術介入の妨げになる」とか、「射幸心を煽る」といったところか。規定が変わったばかりの最初期に持ち込まれたマシンなので、検査する方も慣れておらず、たまたま見過ごしパスさせてしまったのだろう。
ともかくウィンクルは、2号機の新機能をすべて詰め込んだ、ある意味でもっとも2号機を象徴するマシンではないかと、登場から三十余年が経ったいまでも自分は強く思うのである。
2004年2月、栃木県のレトロホールにて。 ベルの次のゲームに訪れた至福の瞬間。
(文=アニマルかつみ)