中年太郎の競馬ニュースまとめ

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“東京五輪ケイリン金メダル候補”の脇本雄太が”競輪”でまさかの銀メダル! 松浦悠士が全身全霊の頭突き2発で五輪金候補を撃破!【G1名古屋オールスター競輪】

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 東京五輪ケイリン金メダル候補が撃沈!『G1名古屋オールスター競輪』は16日、決勝戦が行われ、松浦悠士(29・広島)が絶対王者脇本雄太(31・福井)を競り落とし、昨年11月の競輪祭(小倉)に続く2度目のG1優勝を飾った。

 

 松浦の気迫が奇跡を呼んだ。松浦は打鐘で先行した中四国勢の2番手を追走。すかさずカマシして来た脇本の位置を、最終ホームで冷静に確認後、最終1コーナーで2度、脇本を張って出た。2コーナーから最終バックにかけ、不利な隊形ながらも、もがきにもがいて脇本に食らいつき、3コーナーでも沈みかけながら、再びもがいて復活した。

 

 そして4コーナーで全身全霊の頭突きを2発。この闘魂2発で逆に脇本の心が折れ、最後は3/4車身の差をつけ、松浦が奇跡のVゴールを駆け抜けた。

 

 ゴール後、高々と天にガッツポーズを突き刺した松浦は「(最終)2コーナー下りで出られてしまうかなと思ったが、脇本さんもきつそうで、何とか内で踏ん張った」と勝負の場面を振り返った。

 

 その最終2コーナーに加え、最終バック、そして最終3コーナーと、3度も沈みかける危機を乗り越え、ついに王者を沈めた奇跡の逆転劇。まるで、3度もダウンを喫しながら、最後に逆転KOを決めたボクサーのような、泥臭いが、何とも味のある勝利だった。

 

 入学した広島工業高校に水泳部がなく、自転車競技部に入部したという松浦。高校時代は国体4㎞速度競走の7位が最高と大した実績はなく、競輪学校でも在校13位と成績は目立たなかったが、努力と精神面の強化で脇本を粉砕するまでに成長した。

 

「自分の気持ち、精神面が大きい。レースで負けもて、全て自分の責任と思えるようになった」と精神面の成長を勝因に挙げる松浦。競技の世界でも3本指に入る脇本のトップスピードの持続力を、競輪の“ライン”の力で粉砕したが「(決勝は)ラインの力で何とか勝てましたが、(今後は)個人の力で何とか抵抗していけるようにしていきたい」と続けた。

 

 それにしても日本が誇る”競輪”は奥が深い。

 

 競技の”ケイリン”では、脇本の世界屈指と言えるトップスピードの持続力だけでライバルをねじ伏せるが、ライン勝負の競輪では能力の絶対値だけでは押し切れないケースも出てくる。まさにこの決勝戦がそれで、先行する中四国勢の番手という位置を最大限に利した松浦に、ラインの力に、してやられたと言っていいだろう。

 

 今夏に予定された東京五輪の延期で、今節のオールスター競輪には脇本、新田祐大、女子の小林優香ら、五輪を目指す”ナショナルチーム組”も参戦してきた。だが、終わってみれば、松浦が制したこの決勝戦も、女子の「ガールズドリーム」(優勝・石井貴子)も、”競輪組”が意地を見せた格好だ。

 

 ラインを柱とする競技の本質も、選手層も、まだまだ奥が深い。日本で生まれ、日本が世界に誇る競輪。決勝でまさかの2着に敗れた脇本雄太、準決勝で不利があったとはいえ、ノルマの決勝に乗れなかった新田祐大、ガールズドリームで全くの不完全燃焼に終わった小林優香……。

 

 最後に戦国を統一した徳川家康ではないが、勝ち戦以上に、負け戦から学ぶことが多いもの歴史が証明している。ナショナルチームの面々にとっても、今節の苦い経験が、1年後に予定される東京五輪にプラスに働くことは間違いないだろう。