JRAセントウルS(G2)今度こそ「幻」ではなく「現実」のG1馬に……アノ馬の「倍返し」に期待できる”今年”だからこその理由
そして、この開催変更の恩恵を最も受けると思われるのが、クリノガウディー(牡4、栗東・藤沢則夫厩舎)だ。振り返れば今年のクリノガウディーは苦難の連続だったといえるだろう。
15番人気の大穴に過ぎなかった3月の高松宮記念(G1)では、6枠11番から和田竜二騎手が果敢に先行し、逃げ粘るモズスーパーフレアを捉えて1位入線。待望のG1初制覇を成し遂げたかに思われた。だが、直線で内側へ斜行したことが進路妨害となり、無念の4着降着。初のG1タイトルは幻となった。
トップハンデの影響も大きかったのか、後方から伸び切れずに12着と大敗。まんまと逃げ切ったのは51キロの”最恵量”ラブカンプーだった。踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだろう。
さらに痛恨だったのは、巻き返しを図った関屋記念(G3)を最下位の18着に大敗したことだ。G1で1位入線を果たした馬が、G3で最下位でファンがトーンダウンするのも無理はない話だろう。
ところが、意外にもクリノガウディー陣営に悲観の色はない。
藤沢則師は「ジョッキーが喉を気にしていたから検査してもらったけど、喉鳴りではなかった。ゼーゼーいったみたいで、最後は追っていなかったですしね」とコメント。力負けではなく、あくまでレース中に異変を感じたため、無理をしなかっただけのようである。
「結果的に降着となりましたが、高松宮記念は強いレースをしていました。それだけに近走の連敗は確かに気にはなりますが、CBC賞は軽ハンデのラブカンプーが逃げ切ったように、前残りの馬場とトップハンデが響いたのでしょう。
最下位に敗れた関屋記念にしても、ジョッキーが喉なりを心配して無理をしなかっただけと敗因は明白です。今年のセントウルSは中京開催のため、高松宮記念と同じ中京・芝1200mですから、反撃してくれないと困るくらいです」(競馬記者)
幻のG1馬から現実のG1馬へ……。
倍返しの準備は整ったといえそうだ。