JRAスプリンターズS(G1)グランアレグリア、ダノンスマッシュら有力馬が揃って脱落……問われるのは「強奪」よりも「絆」!? 勝利を左右する「鉄の掟」とは
今年の高松宮記念(G1)を制し、春秋スプリントG1制覇を狙うモズスーパーフレア、安田記念(G1)で8冠を目指したアーモンドアイの野望を打ち砕いたグランアレグリア、前哨戦のセントウルS(G2)を圧勝したダノンスマッシュ他、豪華なメンバーで争われることになりそうだ。
非常に見応えのあるレースが期待されるスプリンターズSではあるが、近年稀に見る多数の乗り替わりがあったことは、今年の大きな特徴といえるだろう。
以下は登録馬において乗り替わりが発生する前走騎手と今回の騎乗を予定している騎手の一覧である。
クリノガウディー 森祐太朗→三浦皇成
(敬称略)
特に注目を集めることとなったのが、安田記念でC.ルメール騎手のアーモンドアイを撃破した池添謙一騎手とグランアレグリアのコンビ解消だ。同馬は元々ルメール騎手が主戦を務めていたとはいえ、アーモンドアイを選んで袂を分かった直接対決で完敗を喫した。
だが、グランアレグリア陣営はスプリンターズSにルメール騎手とのコンビ復活を発表した。ルメール騎手にとっては不本意な形であったとはいえ、安田記念では捨てた格好となったグランアレグリアを池添騎手が好騎乗で勝利に導いた騎乗を評価しているファンは池添騎手に同情。
結果的にリーディングトップの騎手が、池添騎手から奪ったという見方もされたことにより、一部の競馬ファンからは”強奪”したという非難の声も上がった。
また、セントウルSを三浦皇成騎手とのコンビで快勝したダノンスマッシュについても、直近の3戦で川田騎手が騎乗せず、安田記念から2戦連続で手綱を取った三浦騎手が好騎乗による勝利を挙げた。にもかかわらず、川田騎手が”復縁”したことでファンの間では物議を醸すこととなった。
各陣営としては勝利に向けての戦略であることに違いはないが、これが思わぬ”落とし穴”となる可能性があることも確かだ。
実は過去10年のスプリンターズSを勝利した馬で、前走コンビを組んだ騎手が本番で別の騎手へと乗り替わった場合、勝利した例がないのである。直近でも前走から乗り替わりでスプリンターズSを制したケースは、13年前に岩田康誠騎手から中舘英二騎手(当時・現調教師)に乗り替わったアストンマーチャンまで遡らなければならない。
「10年ひと昔と言われますが、さすがにこれは軽視できない傾向でしょう。些細なミスでもリーディング上位の騎手への乗り替わりが少なくない近年、スプリンターズSは人馬の絆が勝利への後押しとなっていることは珍しいといっていいかもしれません。
ドライな関係が賛否両論を生んでいる競馬界にとっても、今年は特に乗り替わりが多発した年でもあります。引き続き同じコンビで出走する人馬には、心情的にも肩入れしたくなりますね」(競馬記者)
勿論、ファンからは一見非情に映る乗り替わりも、陣営からすれば勝利への最善手としての選択だった可能性は高い。
その一方で、乗り替わった馬が、コンビ続行の馬に敗れることがあれば、前走で好騎乗をした騎手を応援している”熱い”ファンにとっては溜飲が下がるかもしれない。
勝利するのは「強奪」か「絆」か。
このような側面でも4日の決戦を楽しみに待ちたい。
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