JRA武豊も苦汁を飲んだ「薬物問題」……。ディープインパクト亡き社台グループの「希望」アメリカ無敗の3歳馬は「疑惑」厩舎出身
14日、社台スタリオンステーションがナダル(牡3歳、米・B.バファート厩舎)を2021年度より新種牡馬として導入することを発表した。同馬は13日にアメリカから日本に到着しており、今月末のスタッドインを予定している。なお、初年度の種付け料は後日発表される。
無傷の4連勝でアーカンソーダービー(G1)を制したナダル。G1で2着に3馬身差をつける走りから、今年の米クラシック有力候補と目されていた。だが、5月28日の調教後に骨折が判明、そのまま電撃引退となった。
すでに種牡馬入りすることは発表されていたが、今回の発表により日本で繋養されることが明らかになった。
その穴埋めをすべく、吉田照哉代表はさっそく8月に当時現役で米G1・4連勝中のブリックスアンドモルタルの購入を決定した。その後、同馬はブリーダーズカップターフ(G1)を制して引退。さらにアメリカの年度代表馬にあたるエクリプス賞を受賞した。
購入金額は4億円ということだが、もしエクリプス賞受賞後に取引していたらさらに金額は跳ねあがっていたことだろう。吉田代表の先見の明はさすがである。
「今年は新型コロナウイルスの影響で、アメリカ3冠競走が日程変更で行われました。例年通りであれば、ナダルはケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)には出走できていたはずです。もし米2冠馬となっていたら、さらなる評価を受けていたはず。こちらもお買い得だったかもしれませんね」(競馬記者)
事の発端は2019年9月、『ニューヨークタイムズ』が前年に米3冠を達成したジャスティファイについて、「4月7日、サンタアニタダービーのレース後に薬物検査で陽性反応が出ており、競馬法に従っていた場合ケンタッキーダービーの出走資格はなかったはずである」と報じたことだ。
これに対してバファート調教師は異を唱えているが、未だ解決に至っていない。
さらに今年5月にオークローンパーク競馬場のレースに出走したシャーラタンとガミーンの2頭が薬物検査により失格処分を受けた。この2頭ともがG1馬ということも、大きな波紋を呼んでいる一因だ。これについてもバファート調教師は「故意ではない」と主張しており、問題解決に時間を要している。
先日の凱旋門賞でもA.オブライエン厩舎の管理馬が、薬物問題で全頭出走取消という事態が発生。ジャパンに騎乗予定だった武豊騎手は、レースに乗ることなく帰国することになった。だが、これについては原因となった飼料の製造元であるゲイン社が謝罪のプレスリリースを行い、事態の収拾に至っている。
その一方、バファート調教師の疑惑が晴れていないのは、腑に落ちないところだ。
だが、社台スタリオンステーションが導入するナダルは薬物問題の対象外。産駒がバファート調教師の潔白を証明するような活躍をすることに期待したい。
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