JRAコントレイルは「本当」に長距離適性がないのか!? 陣営は「絶縁」宣言も……菊花賞(G1)で証明された父ディープインパクトの底力

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 最終関門である菊花賞(G1)を見事に優勝し、コントレイル(牡3、栗東矢作芳人厩舎)は史上3頭目となる無敗のクラシック3冠馬に輝いた。この勝利により、デビューからの連勝を7(G1・4勝含む)に伸ばし、今年を代表する名馬の地位を確定させた。

 

 戦前から危惧され続けていたのはコントレイルの長距離への適性である。

 

 同馬を管理する矢作調教師をはじめ、主戦を任されている福永祐一騎手も菊花賞が行われる3000mの距離は、コントレイルにとって本質的に長いというスタンスを一貫していた。その背景にはデビュー当初から垣間見えた前進気勢の強さや、レースでの”良過ぎる”反応が影響を与えていたことは想像に難くない。

 

 それまで同世代の馬を圧倒していたコントレイルには珍しく、菊花賞では2着アリストテレスにクビ差と追い詰められるピンチ。タイム差なしの辛勝に、あわや3冠失敗かというシーンがあったことは確かだ。

 

 レース後、福永騎手も「やはり3000mは彼にとっては長い距離でした……」と振り返り、矢作師ももう長距離は使わないニュアンスのコメントを残している。


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 これと対照的に映ったのは「福永騎手×矢作厩舎」の同じコンビでリアルスティールを出走させた5年前の菊花賞である。同馬は春の戦績からコントレイル以上に距離適性が懸念されたが、このときには「皆さんが気にするほど俺は気にしていない。むしろ紛れがない分、いいと思っている」と、むしろ楽観的なコメントをしていた矢作師としては慎重さが伝わって来る。

 

 その一方、タイム差なしの接戦を演じたアリストテレスに騎乗したC.ルメール騎手は「すごくいい結果を出せてうれしいです。コントレイルにおめでとう、ですね。強過ぎます」というコメント。あと一歩のところまで王者を追い詰めた騎手としては潔さすら感じる。

 

 多少のリップサービスもあるかもしれないとはいえ、これは本当に相手が強過ぎたことからの発言だろう。危機感を感じていたコントレイル陣営とは逆に、アリストテレスの手綱を取っていた騎手の言葉だけに一応の説得力がある。

 

 実際、菊花賞で上位に入線した馬が、ステイヤーばかりだったのかとなると、そこには一定の疑問が残る。以下は今年の菊花賞掲示板を確保した馬だ。

 

■2020菊花賞(G1、芝3000m)
1着コントレイル、父ディープインパクト
3着サトノフラッグ、父ディープインパクト
4着ディープボンド、父キズナ、父父ディープインパクト



血統にディープインパクトを持つ馬が4着までを独占していることからも、距離をこなせる下地はあっただろう。また、アリストテレスとクビ差だったとはいえ、3着サトノフラッグには3馬身半の決定的な着差がついている。前走が小牧特別(2勝クラス)だったアリストテレスとは初対戦だったが、春の既成勢力との力関係にはそれほど大きな変化はなかったという見方もできる。

 

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「コントレイルが苦戦を強いられた最大の理由は、ルメール騎手の徹底的なマークでしょう。これにより、道中では終始厳しいプレッシャーを掛けられたことが、厳しいレースになったと福永騎手も認めています。

 

仮定とはなりますが、アリストテレスが抽選に漏れて除外となっていたなら、レースはやりやすかったでしょうし、これまで通り余裕を持って楽に抜け出せていた可能性も十分に考えられます。

 

陣営の見立て通り、本質的に中距離馬であることは間違いないかもしれませんが、もう長距離を使わないと決めてしまうのは勿体ない気もしますね」(競馬記者)

 

 過去、3冠を制したような馬は、春の天皇賞(G1)を使われるのが当然といった傾向が根強かった。だが、近年はスピード重視の風潮から、必ずしも最強馬が長距離レースを使われる訳ではないという時代の変化も、少なからずあることも否定はできない。

 

 昭和から平成、平成から令和となった新時代。

 

 かつての王道に拘らない令和の3冠馬というあり方も、これからのスタンダードとなる可能性が出て来たといえるだろう。

 

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