JRAディープインパクト、キタサンブラック……アーモンドアイ初の芝G1レース8勝の壁。7勝を超えられなかった6頭の名馬とは?
今週の天皇賞(秋)は、アーモンドアイがJRA初となる芝のG1レース8勝を目指して出走する。これまで桜花賞、オークス、秋華賞、ジャパンカップ、ドバイターフ、天皇賞・秋、ヴィクトリアマイルと7つのG1を勝利したアーモンドアイ。8勝目をかけた安田記念はグランアレグリアの2着に敗退し、春のG1シーズンでの偉業達成はならなかった。
そして今回の天皇賞はその偉業をかけた最大のチャンス。陣営の思い、そして意気込みは相当なものだろう。
そんな大一番であるレースを前に、過去に芝のG1レースで7勝を達成した6頭の名馬を振り返ってみたい。
新馬から菊花賞まで無敗でクラシック三冠を達成した初めての馬。4歳春の宝塚記念は直前で出走取消、秋に挑戦した天皇賞(秋)が伏兵13番人気ギャロップダイナの2着。5歳は国内では一度も走らずアメリカ遠征後に引退している。つまり3歳と4歳だけでG1レースを7勝しているのだから、破格の実績といっていいだろう。
1985天皇賞(春)
1985ジャパンカップ
1985有馬記念
3歳時のG1レースは皐月賞のみだが古馬になって本格化。4歳時は年明けの京都記念から暮れの有馬記念まで、G1レース5勝を含め8戦全勝と圧倒的な強さを見せつけた。勝利したレースも天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念と古馬の王道路線を同年度ですべて制覇という偉業。この記録は今も本馬だけのものだ。
1999皐月賞
2000天皇賞(春)
2000宝塚記念
2000天皇賞(秋)
2000ジャパンカップ
2000有馬記念
2001天皇賞(春)
シンボリルドルフに次ぐ無敗のクラシック三冠馬。古馬中距離以上のレースは、凱旋門賞遠征と日程が被った天皇賞(秋)を除きすべて勝利。日本国内の敗退は3歳時の有馬記念2着のみだった。シンボリルドルフ同様に3歳と4歳だけでG1レースを7勝、もし5歳以降も現役を続行していれば、天皇賞(春)や宝塚記念などでさらなる勝利を重ねていたに違いない。
2005皐月賞
2005菊花賞
2006天皇賞(春)
2006宝塚記念
2006ジャパンカップ
2006有馬記念
■ウオッカ
2歳時に阪神ジュベナイルフィリーズを制すると、3歳時は牝馬ながら東京優駿(日本ダービー)を制覇。明け4歳時は安田記念と天皇賞(秋)、そして5歳になってもヴィクトリアマイル、安田記念、ジャパンカップとデビューから4年連続でG1レースを勝利している。桜花賞とヴィクトリアマイルで僅差の2着があったのが悔やまれる。
2006阪神ジュベナイルフィリーズ
2008安田記念
2008天皇賞(秋)
2009ヴィクトリアマイル
2009安田記念
2009ジャパンカップ
2012桜花賞
2012秋華賞
2012ジャパンカップ
2013ジャパンカップ
2014ドバイシーマクラシック
2014有馬記念
3歳時は菊花賞のみの勝利だが、古馬になって急成長。4歳時は天皇賞(春)とジャパンカップを勝利し、5歳時は年間G1レース4勝の金字塔を立てた。大阪杯が新しくG1レースになったことも大きいが、4歳11月以降引退まで8戦連続でG1レースに出走し、5勝2着1回3着1回の成績は見事といえるだろう。
2015菊花賞
2016天皇賞(春)
2016ジャパンカップ
2017大阪杯
2017天皇賞(春)
2017天皇賞(秋)
2017有馬記念
以上のように、JRAではここまで6頭の馬が芝のG1レース8勝という壁を超えることができなかった。しかしどの馬も8勝にあと一歩だったのも事実。また、ジェンティルドンナとアーモンドアイ以外は、純粋に日本国内のG1レースを7勝している。
基本的に牝馬はヴィクトリアマイルやエリザベス女王杯など牝馬限定のG1レースがあることで、より達成しやすい状況にある。それだけにアーモンドアイが、クロノジェネシス、フィエールマン、ブラストワンピース、キセキ、ダノンプレミアム、ダノンキングリー、ウインブライトといった強豪が揃ったこの天皇賞を勝利することに、大きな意義があるといえる。
アーモンドアイが天皇賞(秋)を勝てば、すでにほぼ確定的となっている将来のJRA殿堂入りも、一気に確定となるであろう。また、もしこの天皇賞を逃した場合、残るチャンスはジャパンカップかマイルチャンピオンシップか香港のレースになる。海外遠征はコロナウイルスの影響もあり微妙な状況であるため、是が非でもここで決めておきたいところ。
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