JRA「ディープインパクト後継問題」アーモンドアイ父に「失格」の烙印!? リーディング2位ロードカナロア「2021年種付け料」まさかの大幅ダウンの真相
24日、社台スタリオンステーションが2021年度の繋養種牡馬の種付け料を発表した。
昨年、長く日本競馬を牽引したディープインパクト、キングカメハメハという2大巨頭を同時に失った社台スタリオンステーション。それだけに「次代の看板」がどの種牡馬になるのか、大いに注目されていたが“衝撃的な”結果となったようだ。
昨年の種付け料2000万円はディープインパクトに次ぐ高額、代表産駒のアーモンドアイが今年もG1勝ちを上積みし、前人未到の芝G1・8勝を達成。今年のリーディングサイアーでもディープインパクトに次ぐ第2位と、その地位は盤石と思われていた。
だが、発表された2021年の種付け料は1500万円。500万円という大幅なダウンとなった。
「意外な結果でしたね。ただ、冷静に近年のロードカナロア産駒を鑑みると、アーモンドアイこそ歴史的な活躍をしていますが、そこから後が続いていない印象。特に期待されたサートゥルナーリアの不振の影響は小さくはないと思います。
その後となるとダノンスマッシュや、ダイアトニックといった辺りが一線級で気を吐いていますが、ロードカナロアらしい短距離馬。決して悪くはないんですが、やはり短距離のレースは賞金が安く、賞金が高額な“王道”で戦える種牡馬でなければ、高額な種付け料を設定するのは難しいということでしょう」(競馬記者)
実際に、今週末のジャパンC(G1、芝2400m)や年末の有馬記念(G1、芝2500m)の1着賞金が3億円であることに対して、短距離界の頂点を決める高松宮記念(G1)とスプリンターズS(G1)の1着賞金は1億3000万円と大きな開きがある。
結局のところ、種付け料の価値は「産駒がどれだけ稼げるのか」という期待値で大きく変動する。その点でロードカナロアは2018年こそ800万円で294頭と大人気だったが、1500万円と倍増した2019年が245頭、2000万円の大台に乗った2020年が179頭と徐々に種付け数が減っている。
2400mを世界レコードで制したアーモンドアイの出現によって種付け料が高騰したロードカナロアだが、本来のスピードに寄った傾向が顕著となったことで、種付け料も落ち着いたというわけだろう。
昨年、新種牡馬としてデビューして、いきなりデアリングタクトという無敗の牝馬三冠馬を輩出したエピファネイア。また、菊花賞(G1)でもアリストテレスがコントレイルをあと一歩まで追い詰めるなど、大舞台で産駒が活躍。産駒の成績が安定しない長距離砲のイメージは拭えないが、現役時代に菊花賞やジャパンCを制したスタミナは、産駒に王道路線の活躍を想起させる。
一方、そんなエピファネイアの同世代としてクラシックを分け合ったダービー馬キズナは、アベレージタイプ。こちらも昨夏に初年度産駒がデビューし、すでにマルターズディオサ、ディープボンド、ビアンフェ、クリスタルブラックなどが重賞を制覇。G1級の超大物はいないものの、産駒は芝・ダートを問わず、短距離から中長距離と非常に幅広い活躍を見せている。繁殖牝馬の特徴を引き出せるのは、名種牡馬の条件だ。
「今夏に産駒がデビューしたドゥラメンテですが、まだ1頭の重賞馬も出していない状況での(1000万円の)大台突入。本来なら異例の猛プッシュですが、関係者に話を聞くとある程度予測は付いていたようです。
というのも初年度の種付け料が400万円だったドゥラメンテは、その後、400万円→400万円→600万円→700万円と右肩上がりに種付け料が上昇。産駒がまだ1頭もデビューしていないのに倍近くまで高騰していました。
実際に、今夏にデビューしたドゥラメンテ産駒は未だ重賞勝ちこそないものの、先週の東京スポーツ杯2歳S(G3)ではタイトルホルダー、ジュンブルースカイが2、3着に好走。
アドマイヤザーゲやドゥラモンドといった期待の良血馬が、あっさりと1勝クラスを突破していることからも、来年のクラシックでの活躍を見越しての価格アップというわけだ。
ハーツクライやダイワメジャーといった実績組が「ポスト・ディープインパクト」の看板を背負うにはやや高齢だ。2大巨頭の亡き後、再び戦国時代となった生産界だが、ノーザンファームの準備は着々と進んでいるようだ。
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