JRA音無秀孝調教師「北村友はクビだな」から9年。 10年目の数奇な巡り合わせ「あのレース名」で思い出される「信頼」は取り戻せるのか
今年で第6回を迎えるサウジアラビアロイヤルC(G3)。
第6回という短い歴史ながら「サウジアラビアロイヤルC」という名は、オールドファンなら聞き覚えがあるはずだ。
かつて「サウジアラビアロイヤルC富士S」という名で、3歳以上の別定戦で施行されていたが、2015年より2歳マイル戦に変貌を遂げたサウジアラビアロイヤルC。富士Sとは別扱いとなったことで、改めて「第1回」からの施行となっている。
ちなみに、北村友騎手が音無厩舎の馬で重賞を初めて勝利したのは、2010年のサウジアラビアロイヤルC富士S(G3)だった。だが、このレースをダノンヨーヨーで勝利したものの、その後は音無厩舎の馬で重賞勝利が一度もないのだ。
その裏には、過去の「出来事」が関係しているのかもしれない。
スタートで後手を踏んだダノンヨーヨーは、後方からの競馬となる。
さすがに外に出しては間に合わないと思ったのか、北村友騎手も内の進路を選択。しかし、これが裏目に出て万事休す。メンバー中、上がり2位タイとなる32.8秒の末脚を使ったが、前が詰まって6着に敗れた。
これに激怒したのが音無調教師だ。
「あの時は、検量室で音無調教師がオーナーと電話で話していたそうなんですが『あの位置からじゃ無理、中団に付けろと言ったんだけどなあ……』とイライラした様子だったそうです。
その後も怒りが収まらず、検量室から出て来るなり『あれはないよ。北村友はクビだな』と話していたそう。自分が言った騎乗にならず、かなり怒っていたそうですよ」(競馬記者)
この年は音無厩舎の馬で13回も重賞挑戦をさせてもらっていた北村友騎手であったが、確かに次の年からは重賞での依頼数が激減している。その後は、最高でも1年に6回の騎乗。今年は、これまで天皇賞・春(G1)のスティッフェリオ1回のみの騎乗となっている。
しかし、このスティッフェリオが、11番人気での2着と北村友騎手の好騎乗が光った。少しの「信頼」は取り戻せたのか、今年2度目となる音無厩舎所属馬の騎乗は『netkeiba.com』の予想オッズでも、現在2番人気と注目されるインフィナイトだ。
あの「出来事」から9年……。
その後、2010年以来となる音無調教師への重賞勝利は、この馬でもたらされるのかもしれない。
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