JRAコントレイル矢作芳人調教師「試験不合格13回」の泥沼……「逮捕されてたらアウトだった」開成出身エリートの裏にあった「停学」「警察事情聴取」
いよいよ、史上3頭目の無敗三冠に手が掛かったコントレイル。ジャパンダートダービー(G1)を勝ったダノンファラオ、来週の毎日王冠(G2)で有力視されるサトノインプレッサ、昨年のオークス馬ラヴズオンリーユー。さらにはサトノガーネット(中日新聞杯(G3))、ステイフーリッシュ(京都新聞杯(G2))といったところも、もう一花咲かせてもおかしくない充実ぶりを保っている。
今、競馬界で最も注目を集めている調教師は、間違いなく「矢作芳人」だろう。
充実したラインナップは勝ち星にも表れ、今年ここまで45勝は調教師リーディングトップ。この勢いが昨年末に厩舎のエース・リスグラシューが引退したにも拘わらずというのだから、ただただ恐れ入る。
超名門・開成高校を卒業し、オーストラリアへ1年間の研修。そして頭脳派・調教師として華々しく厩舎開業――。これだけを見ると、矢作調教師はまさにエリート街道を邁進してきたように見える。
だが、その水面下ではやんちゃ坊主が、ギリギリの“綱渡り”をしてきた人生があるようだ。
「どうしようもない生徒」だった――。
これはJRA機関紙『優駿』10月号のインタビューで矢作調教師が、自らの学生時代を振り返った言葉だ。東大が既定路線とさえ言われる開成高校に入学しながらも勉強はせず、学生の“悪いこと”を一通りやったという矢作氏。東大も受験したようだが、当然のように不合格だったようだ。
さらにオーストラリアでの研修後、調教師になるためにJRAの競馬学校に入学した矢作氏だったが、学科はほぼ満点、馬の騎乗も問題なかった一方、生活態度が最悪の評価だったという。「職員をひっぱたいちゃった」と退学は免れたものの、停学処分を受けた過去を振り返っている。
まだまだ“矢作武勇伝”は終わらない。その後、競馬の世界に飛び込むことになった矢作氏だが、JRAの調教師試験を合格したのは、それから20年後というから驚きだ。
一般人からすれば合格率10%未満と「非常にハードルが高い」と言われる調教師試験だが、それでも開成出身の矢作氏にとって勉強は、まさに十八番。本来なら、一発合格も夢ではなかったはずだ。
しかし、受験すること実に13回……落ちて、落ちて落ちまくった裏には、ある「事情」があったようだ。
「矢作氏が調教助手時代に絡まれた男を殴ってしまったそうです。しかも相手は任俠団体の幹部であり、警察から事情聴取を受ける事態にまで発展……。これを機に『調教師・矢作芳人』誕生の道は非常に険しいものとなったそうです」(競馬記者)
この事案を受け、競馬界では矢作氏に対して「絶対に調教師試験は通らない。JRAが合格させない」という噂がまことしやかに囁かれ、本人も「逮捕されていたら、おそらくアウトだったと思う」とギリギリの状況であったことを認めている。
「受かったときは嬉しかった。ダービーや有馬記念を勝ったときよりも、あの時が人生で一番嬉しかった」
そう当時を振り返っている矢作調教師。今でこそ綺羅星のごとく超良血馬が集まっている矢作厩舎だが、そんな“事情”もあったからか、開業時点での社台グループの馬は「0」。接点すらなかったという。
そんな変わり者が今や、競馬界を代表する名伯楽の1人になっているのだから、やはり「変人と天才の差は、紙一重」というのは当たっているのかもしれない。
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.